こんにちは、小野寺徹です。
海外メーカーとの取引を進めると、見積もりに「EXW」「FOB」「CIF」といった3文字の記号が出てきます。これがインコタームズ(Incoterms)です。
最初にお伝えしたいのは、全部を暗記する必要はないということです。実務でよく使う条件はごく一部で、考え方さえ分かれば、あとはフォワーダー(国際物流の代行業者)と相談しながら決められます。
インコタームズとは
インコタームズとは、国際商業会議所(ICC)が定めた貿易取引の条件のルールです。ひとことで言うと、
「商品がメーカーの工場からあなたの手元に届くまでの間、どこからどこまでの費用と責任を、売り手と買い手のどちらが持つか」
を、世界共通の記号で表したものです。
海外からの輸送には、現地の工場→現地の港→船や飛行機→日本の港→通関→国内配送、と多くの区間があります。「どの区間の運賃を誰が払うか」「輸送中の事故は誰の責任か」を毎回文章で書くと大変なので、記号ひとつで合意できるようにしたのがインコタームズです。
よく出てくる3つの条件
EXW(Ex Works/工場渡し)
メーカーの工場で商品を引き渡した時点で、売り手の役目が終わる条件です。
- 工場から先の輸送・保険・通関は、すべて買い手(あなた)側の手配と負担
- 商品代金そのものは最も安く提示されやすい(輸送費が含まれていないため)
- そのぶん、輸送の手配はフォワーダーに依頼して自分側で組み立てることになります
FOB(Free On Board/本船渡し)
現地の港で、船に商品が積み込まれた時点で費用と責任が売り手から買い手に移る条件です。
- 工場から港までの輸送と輸出通関はメーカー側の負担
- 船に載った後の海上運賃・保険・日本側の通関は買い手の負担
- 「現地国内の面倒はメーカー、国際輸送はこちら」という分かりやすい分担です
CIF(Cost, Insurance and Freight/運賃・保険料込み)
日本の港までの運賃と保険料をメーカーが負担する条件です。
- 見積もり金額に日本の港までの輸送費・保険料が含まれます
- 手配の手間は減りますが、輸送部分の費用がメーカーの言い値になりやすい面もあります
- なお、費用は日本の港まで売り手持ちですが、輸送中の危険の移転は船積み時点というのがCIFの特徴です。細かい点は契約時にフォワーダーや専門家に確認しましょう
どう使い分けるか
初めての取引で覚えておきたい考え方は、次の2つです。
1. 見積もりは条件つきで比較する メーカーから価格を提示されたら、「それはEXWの価格か、FOBの価格か」を必ず確認します。同じ商品でも、含まれる輸送区間が違えば金額は変わります。条件を確認しないまま「安い」と判断するのは危険です。
2. 自分で決めずに、フォワーダーに相談する どの条件が有利かは、商品の大きさ・重さ・数量・出荷国によって変わります。実務では「EXWとFOBの両方で見積もりをもらい、フォワーダーに輸送費を試算してもらって総額で比べる」という進め方が堅実です。フォワーダーの探し方と頼み方はフォワーダーとは?初めての輸送手配の流れで解説しています。
個人の輸入ビジネスでの注意点
- 総コストで考える:商品代金だけでなく、輸送費・保険・関税・国内配送まで含めた「1個あたりの総コスト」で利益を計算します(詳しくは輸入コスト計算の基本へ)
- 納期は余裕を持つ:船便は天候や港の混雑で遅れることがあります。クラファンのお届け予定から逆算して、余裕のあるスケジュールを組みます
- この記事は概要です:実際の契約条件は取引ごとに異なります。個別の判断は、フォワーダーや通関業者など実務の専門家に確認してください
まとめ
- インコタームズは「費用と責任の分かれ目」を示す世界共通ルール
- まずはEXW(工場渡し)・FOB(本船渡し)・CIF(日本の港まで込み)の3つが分かれば十分
- 見積もりは必ず条件つきで比較し、最終判断はフォワーダーと相談して決める
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